悟りの町で気づいた壁画を描く役割
初のクラウドファンディングによる壁画制作プロジェクト。最初に向かったブッタガヤの学校では、およそ10日かけて6m×4mの絵を仕上げたそうです。

「その学校には孤児たちの寮があるんです。日曜日に行くと寮の子たちが出てきて、一人の男の子は『僕には家族がいないからルルをお姉さんと呼んでいい?』と言ってくれました。とても気がかりだったのは、活発な男の子たちにくらべて女の子たちが控えめなことでした。いまだに女性の地位が低く、さまざまな機会を与えられないことに理由があるそうです。だから遠巻きの彼女たちをできるだけそばに呼んで、いっしょに描いてもらいました。私が見た限りでは、楽しくやってくれたと思いますけれど」

「インドにいる間、400本くらいのショート動画をInstagramにアップしました。ただ可哀そうなだけじゃない人たちの日常を知ってもらいたくて。それに共感してくれた方がたくさんいました。これかなって思ったんです。もともと旅が好きで、絵を描くのも好きになって、そこに行かなければ成立しない壁画を描くようになった私の役割は、現地の子どもたちの生活ぶりを伝えることなんじゃないかと。今回のインドでは、人のために描くっていいなあと、はっきりわかった気がするんです」

「ブッタガヤには、ブッダが悟りを開いたという世界遺産のマハーボーディ寺院があるので、到着したその日に足を運んでみました。寺院の中はかわいいお花であふれていて、お坊さんたちがお経を唱える声が響き渡っていて、そのパワーに圧倒されたらふわっと涙があふれちゃったんです。それをインスタで報告したら、思わず泣いたのが12月8日で、それはブッダが悟りを開いた日だよと教えてもらって……」


そんな決意を表したルルさんとコロンビアのコラボレーション。「アーティストの意思を尊重して自由に描かせてもらえたのがうれしい」と語る第2弾のアイテムが間もなく登場します。ポートランドとの縁も必然と思えるルルさんの世界観を、ぜひその手に取って感じてください。

INFORMATION
PROFILE
1987年生まれ、愛知県名古屋市出身。2015年にした長期旅行の末にたどり着いたメキシコでお金がなくなり、安宿に絵を描く代わりに無料でそこに宿泊をしているうちに壁画の楽しさに目覚め、帰国後2016年から絵描きとして活動を始める。国内外問わず、学校・病院・孤児院・障害児施設に壁画を制作し、自分の絵で人を喜ばせたいとの想いで活動を続ける。
公式Instagram:https://www.instagram.com/lulu_kouno/
Text:田村 十七男
Photos:大石 隼土