オレゴン州ポートランドに流れるコロンビアリバー。
85年前、この川の名前を由来とする
小さな会社が誕生した。
後にアウトドアウェアに革新をもたらし、
世界中で愛される製品を生み出すことになることは
誰も予想だにしなかった。
強い信念と深い愛情を持った一人の女性を除いては。
オレゴン州ポートランドに流れるコロンビアリバー。
85年前、この川の名前を由来とする
小さな会社が誕生した。
後にアウトドアウェアに革新をもたらし、
世界中で愛される製品を生み出すことになることは
誰も予想だにしなかった。
強い信念と深い愛情を持った一人の女性を除いては。
コロンビアの歴史は、今から85年前へと遡る。コロンビアスポーツウェアカンパニーの創始者ポール・ラムフロムは、ドイツで最大級の規模を誇るシャツ工場の経営者だった。ナチスの支配から逃れ、アメリカへ亡命。新天地を求めて辿り着いたのは、オレゴン州ポートランドだった。その昔、開拓者が西部を目指したように、彼らも成功への夢を探求する不屈のフロンティアスピリッツを持ち合わせていた。
コロンビアスポーツウェアの歴史は、1938年、ポールが帽子問屋の権利を買い取って設立したコロンビアハットカンパニーから始まる。ポールの娘であるガート・ボイルがまだ10代の少女の頃だった。
ポールは帽子の他、ベルトやサスペンダーなどのアクセサリーも販売。ガート・ボイルは、家業を手伝いながら、1947年にアリゾナ大学を卒業した。夫となるニール・ボイルと運命的な出会いをしたのは、この大学のキャンパスだったのだ。ニール・ボイルは、1950年から、ラムフロム家の事業に参加。アウトドア製品の製造に対する強い思いを抱いていた彼らは、その10年後、1960年に、スキーグローブ製造会社と合併。ここに、コロンビアスポーツウェアカンパニーが誕生したのだ。
1960年はコロンビアにとってもう一つ、記念すべき年でもある。
釣り好きの夫や友人たちのために、ガートが自宅のミシンで作り上げた一着のフィッシングベスト。それまで、釣り人は道具をバスケットに入れて運んでいたが、ここに生まれたのは、さまざまなツールを収納できるたくさんのポケットがついた画期的なベストだった。コロンビア初のオリジナル製品、マルチポケット・フィッシングベストの誕生だ。その後、世界中のフィッシングベストの原型になり、釣りを変えたと言っても過言ではない製品といえる。
「もし、ないのならデザインする」、「もし、それが真のアウトドア愛好家のためにデザインされたものであるなら、きっとみんなは買ってくれる」。この経験から、ニールとガートは大きな教訓を得た。この基本的な考え方が、コロンビア製品を開発する源泉となっていったのである。
マルチポケット・フィッシングベストの開発から4年後、ガート・ボイルの父ポール・ラムフロムが逝去。その後、社長を引き継いだ夫のニールが、6年後の1970年に急逝してしまう。コロンビアの事業がこれからというときに、悲しい出来事が連続してガートを襲った。
最愛の夫を失い、突然訪れた人生の危機。彼女のもとに残ったのは、3人の子ども、そして多額の借金だった。ニールは積極的な拡大戦略を展開し、その資金調達のため、会社と個人資産を担保に入れていたのだ。それから2年後、ガートはコロンビアの売却を考えたが、売却評価額のあまりの低さは、彼女に新たな決意を生み出させた。「そんな金額で売るぐらいなら、自分で頑張ろう」と。当時、まだ大学生だった息子ティム・ボイルとともに再建の道が始まった。彼女が目指したのは、細々と家業を続けることではない。亡き夫ニールが目指していたコロンビアの拡大戦略を引き継ぎ、成功させることだった。
財務の経験しかない主婦のガートにとって、会社経営は未踏の荒野。言うまでもなく、再建の日々は過酷だった。だが、かつて父ポールが危険を冒し、新天地へ渡ってきた精神は、彼女にしっかり宿っていた。それまで以上に、製品づくりに対して情熱と愛情が注がれた。
地道な製品開発は日々続き、70年代半ば、コロンビアは世界で初めてゴアテックス®を採用した製品を開発。コロンビア製品の革新性は、世界へ知れ渡るようになった。いま思えば、その後のオリジナリティ溢れる製品群の誕生が、このとき予告されていたのだ。
苦難の時期を経て、80年代へ入るとコロンビアの躍進は始まった。
1984年、“インターチェンジシステム”が登場。それは現在もコロンビアの代表的なアイテムであるスリー・イン・ワン・ジャケットで実現した画期的な機能だ。アウタージャケットとインナージャケットをジッパーで脱着して、3通りの着こなしを可能にする“インターチェンジシステム”は、その使い勝手の良さが認められ、爆発的な人気を集めた。1993年、このシステムを採用した“バガブーパーカ”は、全米で販売数が100万枚を超え、米国内アウトドアウェアの年間最多販売記録を打ち立てるまでになった。独自の機能、オーセンティックなデザイン、そして多くのアウトドア愛好家のためを考えた適正な価格のコロンビア製品は、瞬く間に全米の人々から支持を得るようになった。
この時期、コロンビアはユニークな広告を展開していた。その中心となったのが、ガート・ボイルだ。頑固なオバサンを思わせる表情で登場。ときには過激なポーズとメークでメッセージを発信した。しかし、そんな強面な“マザー”が、実は優しい母の素顔を持っているということも付け加えておかねばならない。
「お子さんが何人もいる家庭で、高いジャケットやコートは何着も買えないでしょう。だからコロンビアでは適正な価格を大きなテーマにしています。私はアウトドアの世界をひとりでも多くの人に楽しんでもらいたいんです」と彼女は言う。
コロンビア製品の革新性は、この“マザー”の愛情と信念から生まれている。人々が敬意を込めて、ガート・ボイルを“マザー”と呼ぶ所以だ。彼女はオレゴン州の実業家で構成されているオレゴン・エンタープライズ・フォーラムの「1994年オレゴン・アントルプルヌール賞」をはじめ、数々の栄誉を受けることになった。
アメリカを代表するビジネスウーマンになったガートは、2005年に自伝『ワン・タフ・マザー』を出版。困難と挑戦の歴史と言える彼女の人生を通して、ビジネスに夢を持つ人、自分がコントロールできない状況に直面している人を鼓舞した。
さらにガートは広告だけではなく、コロンビアのさまざまなグラフィックに登場するようになる。ご存知の「TESTED TOUGH」だ。スタンプを押したかのようなグラフィックは、「コロンビアの製品とあなたを、マザーはちゃんと見守っていますよ」という品質の証。さまざまなフィールドテストを繰り返し、アウトドア愛好家にもっと快適に、もっと安全にアウトドアを楽しんでいただきたいという信念の表れだ。
2000年代に入り、コロンビアは新機能を矢継ぎ早に開発。防水透湿機能オムニテックをはじめとするオムニシリーズのさまざまな機能を展開し、アウトドアウェアのさらなる高みを目指した。
2010年、高レベルの保温機能“オムニヒート”を導入。アルミニウムをドットパターン状に施したリフレクティブプリントを裏地に採用したウェアは、機能を視覚化したデザインで画期的な製品となった。2011年にフットウェアの快適な内部環境を実現する“アウトドライ”、2013年に汗を利用した冷却機能“オムニフリーズゼロ”、そして、2014年には天然ダウンをインシュレーションに融合させた“ターボダウン” 。アウトドアを楽しみたいすべての人々へ、さらに快適な環境を届けるため、コロンビアの機能開発はスピードアップした。
2019年11月ついにその日が訪れる。50年以上にわたってリーダーシップを発揮し、ブランドのアイコンでもあった コロンビアの“マザー”、ガート・ボイルが逝去。しかしすべての製品に貫かれてきた「優れた製品を通じて、アウトドアを楽しんでもらいたい」というガート・ボイルの愛情と信念までが消え失せてしまうことはない。
85年の歴史は、挑戦と革新の連続だった。アウトドアウェアというカテゴリーさえ確立していない時代から機能性を重視した製品の開発を行い、さまざまな独自の機能を生み出し、アクティビティを快適に支えてきた。そして世界中の人々にコロンビア製品は愛されるまでになり、企業として成長を果たした。しかし、どれほど規模が大きくなっても、この精神だけは“マザー”亡き後も、そして100年後も変わらないだろう。
春は新緑を、夏は熱い太陽を、秋には紅葉を、冬には真っ白な雪を、自然へ行けば味わうことができる。シンプルで当たり前のことかもしれないが、コロンビアはそんな素晴らしいアウトドア体験をしてもらうためのきっかけを創り出し、人々を情熱でつなげていきたい。
人々の暮らしにとってアウトドアは山や川がある場所だけではない。私たちが住む街、私たちの暮らしそのものがアウトドアと密接に関係している。ドアを開ければ、そこはアウトドアだ。コロンビアの役割は大きく広がっている。
“自然を楽しむ”ということに国境はないのだ。雄大なオレゴンの大地で育まれた確かな品質と技術で、コロンビアは革新を続けていく。アウトドアを愛する世界中の人々のために。
アウトドアを愛する人々がさらに快適に楽しむために、保温、防水透湿、吸湿速乾、冷却といった、あらゆるシーンに対応するテクノロジーを独自に生み出してきた。より良いアウトドアライフを提供するため、
コロンビアはこれからも新しいテクノロジーを追求し続けていく。
コロンビアが開発したアウタージャケットとインナージャケットをジッパーやスナップボタンで着脱可能にした画期的なレイヤリングシステム。
コロンビア独自のカッティング方法。アームホール下部にマチをとることによって、腕の上げ下ろしや、肘の曲げ伸ばしが楽に行える。激しい動きを伴うアウトドアアクティビティに最適な機能。
外部から水の浸入を防ぎ、なおかつ激しい運動によるウェア内のムレを最小限に抑える透湿性を発揮。
フィッシングベストのショルダーやネックヨークに通気性を持たせた多孔質のブリーザブル・ネオプレーンを使用。ストレッチ性に優れているためショックアブソーバーとしての機能を果たし、さらに肩や首への重量を均等に分配し、負担をやわらげる。
オムニドライはコロンビア独自の吸湿速乾素材。優れた吸水効果と放湿性のクイックドライ機能を発揮し、常に快適な着用感をキープする。
MTRフリースやロックパイルに、ストレッチ性、防水性、防風性、透湿性を持つオムニテックフィルムをラミネートしている。その結果、雨風をシャットアウトするアウターレイヤーと、身体を保温するミッドレイヤーの双方の役割を1アイテムで両立。
オリジナルのラバーコンパウンド。ウェット、ドライの状況を問わず、高いグリップ性と安定性を発揮し、アクティビティを足もとからサポートする。
太陽の紫外線を遮断するサンプロテクション機能は、UPFの値が高いほど優れた保護効果を発揮。UPF30なら紫外線の95%、UPF50なら紫外線の98%を防ぐ。
オリジナルモールデッドEVAによってアウトドアフットウェアに必要なサポート性と高いクッション性を両立。軽量で親水性も高く、洗浄も容易なため、メンテナンス性にも優れている。
優れた撥水機能により雨や汚れを効果的に弾き、ウェアを保護。通常のファブリックに比べて速乾性があり、水分を含んでしまうことはない。
アルミニウムをドットパターン状に施したリフレクティブプリントを裏地に使用。身体の熱を効果的に反射しながら蓄え、高い保温性を実現する。生地本来の透湿性を損なわず、さらに放電を促すことで静電気の発生も抑える。
キク科の植物に見られる天然の防虫成分を人工合成技術により作り出し、持続的に虫を寄せ付けず身体を守る。
あらゆる外的要素から身体を完全にプロテクト。極めて高い通気性と透湿性を兼ね備え、身体から放出される湿気を効果的に排出。悪天候下の激しい運動時にもウェア内環境を快適に保つ。
防水性と透湿性を備えたメンブレンをアッパーの内側に直接接着することで、水の浸入を最外層部でシャットアウトする。アッパーとメンブレン間に水がたまる隙間がないため、水分による重量増加や冷えを防ぐ。
最先端の水分コントロール技術により、表面全体に汗を分散。水分を拡散して迅速な蒸発を促す。汗をかいたと感じる前に水分が蒸発し、常にドライな着心地を実現する。
冷却材である小さな青いサークルが、汗を利用して生地全体の温度を瞬時に下げ、持続的なクーリングを提供。気温が高い状況においてもドライで快適な着心地を実現する。
ターボダウンは高品質の天然ダウンをインシュレーションに融合させることで、熱を逃がさず高レベルの保温性を発揮。身体の熱を内側に反射するオムニヒートサーマルリフレクティブとの相乗効果で、厳しい寒さにも耐える優れた暖かさを実現する。
染料不使用生地を採用し、その外側にPFCsを使用していない防水透湿メンブレンを直接ラミネート。ハイパフォーマンス性を維持しながらも、すべてにおいてリサイクル素材100%の最もエコな防水透湿テクノロジーを実現。
オムニヒートブラックドットは初の外部で熱を生み出すテクノロジー。独自で開発された表地のドットが太陽光を捕らえ、内部に効率良く暖かさを提供する。
糸、生地、冷却材など全てのコンポーネントを着心地と冷却効果を極限まで向上させるために設計。汗を利用して効率的に温度を下げることであらゆるパフォーマンスを高める。
さらなる進化を遂げた、コロンビア独自の熱反射テクノロジー。新たにデザインされた金色のリフレクティブドットによってより効率よく体温を反射して、瞬時に暖かさを提供する。